通販は、一九世紀の後半に世界に先駆けて米国で登場した。日本の通販の近代化は、フジサンケイリビンクサービス(ディノス)と高島屋が相次いでカタログを発刊した一九七四〜七五年ころから始まったといわれているが、そこから遡ることおよそ一〇〇年も以前(一九世紀後半)、米国のモンゴメリー・ワードやシアーズはすでにカタログ販売を展開していた。一八世紀後半にも種苗カタログが東海岸で発行されていたという記録もあるが、今日に続く米国の近代的通販のはじまりは、モンゴメリー・ワードやシアーズが創業をはじめた一九世紀後半であるといわれている。シアーズ・ローバックシアーズ・ローバック社の創業者である。リチャード・ウォーレン・シアーズ(RichardWarrenSears)は、ミネアポリス・セントルイス鉄道の貨物輸送を管理する駅長であった。ある日彼は、受け取り拒否で駅留めになっている金時計を、送り主である宝石店から半額の一二ドルで譲り受け、一四ドルで販売することに成功し、六ヵ月間で五〇〇〇ドルを手に入れた。仲間の鉄道員や知人に手紙を書いて、売るように手配したのである。これが彼にとってDM(ダイレクトメール)による通販のヒントとなり、一八八六年ミネアポリスでR・W・シアーズ時計会社(時計と雑貨の販売会社)を設立した。そして一八九三年にはシカゴに移り、二〇世紀中葉に米国最大手の小売業者として知られるようになるシアーズ・ローバック社を、仲間のアルヴァー・カーティス・ローバック(A.C.Roebuck)とともにはじめた。シアーズ・ローバックは、大量に販売することで資金の回転を高め利益を確保するいわゆる「薄利多売方式」や、三八人のクラブ員が毎週一ドルずつを出し合い、毎週クジで一人が時計を手に入れることができる「クラブ計画」(全員が時計を手に入れるまで三八週間続ける)、上得意客を利用して隣人にカタログ配布をさせ、配布された新規顧客の購買記録をとり、販売促進貢献度に応じてカタログ配布人に自転車やミシンなどの報償を与える「紹介販売方式」など、独創的な販売方式で急成長していった。
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